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ペレルは首を斬り、その切り口を松明で焼いた。
ヒュドラにとっては牛肉の塊は小さかったのか……すぐに食らい終わると今度はペレルの方に向かってその首を持ち上げた。
ペレルは間合いを取りながら一本一本その首を刎ねた。
何度も噛み付かれその度にのたうち回った……ヒュドラの牙には毒がありそれがペレルの身体を蝕み苦痛を与えた……。
それでもペレルは戦った、愛する姫の為……ただそれだけの為に……。
バスタード・ソードもヒュドラの堅い鱗に刃毀れし、ペレルも何度もヒュドラから手痛い洗礼を受けた、しかし……ペレルの姫への想いが勝ったのであろうか、ペレルはようやく本物の首を斬り落とし、ヒュドラを退治した。
その時にはペレルはようやく立つことが出来るほど痛めつけられていた。
一歩進むごとにヒュドラの毒は体を蝕み、苦痛から目の前が何重にも見えた……。
しかし、ペレルは愛しい姫の事を想いその苦痛に耐えた、姫の光は私が取り戻すのだ……。
ペレルは歯を食いしばり、バスタード・ソードを杖代わりに歩くと、やがて赤く光る部屋が目に入った。
ここだ……ペレルは力を振り絞って、剣を構えその部屋に入った。
部屋の中には古ぼけた机に向かっている魔女の後ろ姿があった。
ペレルは言った。
「魔女殿……姫の光を取り戻す宝玉を渡してはくださらぬか?」
ペレルの言葉に、魔女はゆっくりと振り返ると言った。
その顔は女王とそっくりだった。
「あんたは、ヒュドラまで退治したんだねぇ……だったら、渡してあげなくてはならないねえ……。」
魔女はそう言うと、指をパチンと鳴らした。
ペレルの目の前に大きな炎が現れた。
魔女は言った。
「その宝玉はその炎の中にあるよ……。お前に勇気があれば取るがいいさ、でなければとっとと帰るがいい。」
魔女の言葉にペレルは言った。
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