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王女である姫君が騎士団を5日後に謁見するという知らせがペレルの元に入った。
ペレルはほっとした……騎士団を謁見するまでに姫の目に光は戻ったのだなと。
それは嬉しくもありその反面この醜い姿をいとしい姫の前に晒すのはペレルとしては悲しかった。
その夜ペレルは魔女からもらった薬を飲んだ。
どういう効果があるのは分からなかったが、少しでも傷が癒え、少しでも姫へのお目通りが叶うならと半ば焼けバチで飲んだのである……。
翌朝、ペレルは体が軽くなっているのを感じた。
鏡を見ると醜い姿は相変わらずであったが、火傷の跡もかなり消え、元の身体に戻りつつあるのを感じた。
ペレルは椅子に腰を下ろして鎧を丁寧に磨いた。
せめて、姫君の前では鎧だけでも美しくありたい……どうせ、顔は隠れてしまうのだから……。
ペレルはそう思いながら黙々と鎧をそして剣を磨き上げた。
姫君の騎士絵の謁見の日、ペレルは一番で城に入った。光り輝く甲冑に共に戦場を駆け巡った愛馬とともに……。
城の門番は騎士ペレルに深く首を下げるとペレルを中へ通した。
姫君の謁見は、騎士たちが集まり隊形を整えた昼前に行われた。
ペレルの位置は前列の右から5番目の位置だった。
やがて、王と騎士団長に伴われた見目麗しい姫君がやってきて謁見を開始した。
姫君は騎士団を一歩一歩確かめる様に歩くとペレルの前で立ち止まって言った。
「面を上げなさい、勇敢なる騎士……そして恩人である騎士ペレルよ。」
姫君の言葉にペレルはゆっくりと面を上げた。
醜い顔を姫君に見られた……ペレルは悲しくなり……目を閉じた。
姫君はペレルの両手を取り、その顔をペレルの顔の直ぐ近くまで余でせてその醜い顔をしばし眺めながら言った。
「素敵なお顔をなさっていますわ……まさに王家の為に身命を賭して戦った勇者です。」
姫君はそう言うと、手袋を外してそっとペレルの顔を撫ぜた。
ペレルは硬直して体が動かなくなった。
澄んだように青い姫君の視線をペレルは恥ずかしくて受け止めることが出来ずに目をそらした。
姫君は言った。
「騎士ペレルよ……なぜ、目を逸らすのか?貴公は私がお嫌いか?」
その言葉に騎士ペレルは片膝を付き言った。
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