2004年12月25日

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 私は首を捻ったが「いいからいいから」と野田くんは半ば強引に私をメリーゴーランドの馬に乗せた。睫毛パッチリで得意げな笑みを浮かべている馬だ。 「俺は乗らねえけどな」 「えっ!?」  その声に顔を向けると、野田くんは鉄柵の外にいた。  柵はもう閉まっており「それでは、いってらっしゃーい!」と笑顔で手を振るスタッフの一声で、私の乗った馬はゆっくりと動き出す。  もう戻れない。私の乗る馬は上下しながら、遊園地の全景を見せる。  そして一周して、夜に立つ彼の姿が現れた。 「俺は!」  野田くんは叫ぶ。  その時、私は初めて見た。  彼の真剣な表情を。 「おまえが好きだ!」    メリーゴーランドは二周目に入り、彼が視界の端から途切れても。  その言葉は、はっきりと聞こえた。  そのまま馬は回って、もう一度彼が現れる。  私は力いっぱい叫んだ。 「ばーか!!」 「いや、ばかってなんだよ!」  その言葉と共に彼はまた見えなくなる。  ……回れ、メリーゴーランド。  もっと回れ。    口元を押さえる両手に白い雪が乗る。  あのスノードームのような、眩しい光の粒が降り注ぐ夜に私は願った。  お願いだから、止まらないで。    ――まだ、どんな顔したらいいかわかんないから。  
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