25人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
2005年12月25日
クリスマスは、寒い。
「わ、懐かしいね」
「一年振りだな」
野田くんと付き合って初めてのクリスマス。
いつもよりちょっとお洒落なディナーとかわいいケーキを食べて、私たちは思い出の遊園地の前に来ていた。
「なんかあの時のこと思い出して一年越しに恥ずかしくなってきた」
「ねえあの告白って前から計画してたの? 知能犯による計画的犯行?」
「うるせーもう忘れた」
そっぽを向く彼がかわいくて、私は笑ってしまう。
「ねえ、ちょっと入ってみない? 久しぶりだし」
そう言ってから私は一歩を踏み出して。
彼が動かないことに気付いて立ち止まる。
「あー、今回はやめない?」
いつもはあっけらかんとしてテキトーなことばかり言っている彼が珍しく口ごもっていた。私はその態度に少し引っかかる。
「え。どうして?」
「うーん、なんかさ」
野田くんはそこで言葉を止めた。
「……いや、なんでもないや」
「なにそれ気になる」
「ほら、寒いからどっかあったかい店にでも入りてーなあと思って」
「ほんとかなあ」
苦笑して「ほんとほんと」と言う彼に、私はそれ以上何も訊かなかった。
「あ、そういえば駅前に新しいカフェ出来てたな。行ってみるか!」
「駅前ならいつものカフェで良くない?」
「新しいほうが楽しいじゃん」
そう言って、彼は雪の降らない聖夜を歩き出す。
私はその後を追いかけた。
最初のコメントを投稿しよう!