運命?

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「やっぱり似てるなぁ」 ドアが閉まった後、ヨウさんが呟く。 「ヨウさん……あの人の事知ってたの? 」 「……てか、絢ちゃんが知らん事に オレは驚いてる。 会った事無かったんだ? 」 ただ頷いた私に ヨウさんは店の端に置かれてる雑誌のラックから、一冊の雑誌を持って来てパラパラとめくり 見開きのページを私の前に広げて置いた。 すぐ目に飛び込んで来たのは さっきの人の写真。 『経済界のニューフェイス』 そんな見出しに きちっとしたスーツを着て、インタビューに答えてる表情の写真がいくつも載ってた。 父である藤井さんの跡を継いで、この人が今トップに立ってる事も、今初めて知った。 さっきと同じ人物なのに まるで違う人のような印象。 プライベートは仕事に持ち込まない そう答えてる文章があった。 「この人がトップになってから、また業績上がったらしいよ。 あの藤井さんよりやり手だって。若いのにさぁ。 ……あれ? 絢ちゃん、もしや歳一緒なんじゃん? 」 記事の最後に載ってたプロフィールをヨウさんと覗き込めば え? と同時に声を発して顔を合わせる。 同じ年、同じ月生まれ 生まれた日も1日違い。 「ヤバくない? なんか運命感じちゃーう」 ヨウさんの時々出るオネエキャラに 苦笑いするしかなくて 「誕生日が近い人なんていっぱいいるでしょ」 そう言ったら ブツブツと文句を言って口を尖らせる。 私よりヨウさんの方が乙女なんて、笑っちゃう。
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