運命?

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追加で頼んでいた内装の業者さんの作業に立ち会い、約1時間。 気付いたら、時計はもう23時近く。 「ヨウさん、もういいよ。 後は私が片付けて帰るから」 「はい? 何、水くさい事言っちゃってんの」 手にほうきとチリトリを持って 掃き掃除をしようとしたヨウさんが へ? って顔をして私を見る。 「また明日も頑張って貰わないといけないから! 私、一応“店長”だしね」 すると プーッと吹き出して 「店長って呼ばれるのヤダって言ったの、どこの誰よ。 つーか! 掃除はオレの方が早いし、綺麗だと自信持って言える」 そう言いながら ヨウさんは結局そのまま掃き掃除。 黒服時代、清掃担当の人がいるのに いつも閉店後にお店を掃除してたヨウさんを見てたっけ。 掃除をしてるヨウさんに 「ありがと」と呟けば 「お礼なんか要らん、バカちん」 ヨウさんらしい返しに笑いながら その優しさに甘え 私はレジ締めをして、初日の売上やロスの計算をしようとカウンターのイスに座った時 チラッと胸のポケットの中が見えて さっきの出来事を思い出す。
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