3000万

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「調べたら、親父が付き合ってた女があんただけだって分かってさ。 そんな女なら、オレも興味湧くじゃん」 ………待って。 私だけ……? 今、そう言ったの? 藤井さんには他にも女の人なんて、沢山いるんだと思ってた。 『自分にも他に女がいるし、 だから絢も自由に恋愛したら良いよ』 出逢った頃に、確かに藤井さんは私にそう言った。 なのに……そんな事聞いちゃったら 私、どうしたらいいか分からなくなる。 視線をアスファルトの上へと落とした私に 「あれ? どうした? 睨むの止めちゃって」 投げられる意地悪な言葉に 瞬きを数回 そしてまたその目を見た。 「ん? 買われる気になった? 」 私の反応を楽しんでる顔。 世界が全部自分中心に回ってて 叶わない事なんて無い 私の事なんてモノ扱い。 こんな人、好きじゃないけど 大ッキライだけど その目にふとした瞬間 優しかった藤井さんが見えるようで。 あの関係は、恋や愛じゃないと思っていたのにね。 「……私は高いですよ」 私より少し高い場所にある目を見たら フッと笑う。 「いいね。………いくら? 」 「──3000万」 カフェの開業資金の倍の額。 そんな金額を口にした。
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