閉店後

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閉店後

オープン当日。 朝から引っ切りなしに届けられる花の対応に ヨウさんが走り回る。 小さな店の前には、通る人も驚く位の花達が並び 一生忘れないだろうこの日を飾ってくれた。 その花の効果のせいもあり たまたま通りがかって寄ってくれる人も多く オープン初日は、開店から殆ど休憩も取らずに働いた。 閉店は21時。 「あー、さすがに疲れたなぁ。お疲れ、店長」 ドカっとカウンター席に座ったヨウさん。 「店長は止めてって言ったでしょ。 その響き好きじゃないんだから」 そう言いながら、今日一日頑張ってくれたヨウさんに、お疲れ様のコーヒーを差し出す。 「お、サンキュー。 天才バリスタのコーヒーがただで飲める、これ最高」 ニヤニヤしながら 熱い湯気の見えるコーヒーをすすった。 「天才とか意味不明」 私も同じ様にコーヒーを飲んだ。 バリスタの資格は取ったけれど 天才なんて、冗談でも言われる腕は無い。 「なんでよ。 絢ちゃんのコーヒーが 一番美味いって断言出来るのにさ」 そんな話をしてたら CLOSEのプレートをドアにかけてあるのに ドアをコンコンと叩く音がして ヨウさんと二人顔を合わせる。
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