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3、発表
「さて、課題はどうだったかな?意外に難しかったんじゃない?」
爽やかな教師は、丸い眼鏡をクイッと上げて生徒たちを見た。
少し恥ずかしそうにしている生徒やニヤニヤと嬉しそうにしている生徒もいた。
「じゃあ、みんなそれぞれ立ち上がってプレゼントを渡し合って下さい。」
教師は教壇の上から生徒たちをじっと眺めていた。その視線は温かく一人一人を見守っているように見えた。
生徒たちは恥ずかしながらも、自分たちの用意したプレゼントを渡し、相手は違うがそのお返しにとプレゼントをもらっていった。ほとんどのプレゼントが物であった。何人かは、手紙や何やらひそひそと話をしたりしていた。生徒たちは、それぞれ思う事を話し、とても楽しそうに見えた。みんながプレゼントをもらったので、教室は喜びの雰囲気に包まれている、ように見えた。
「美織、何もらったの?」
藍は美織の所に行き聞いてみた。
「私が好きな韓流の切り抜きだった!理子ちゃんと私が好きなやつ覚えててくれたんだよ。」
と美織は藍に照れ臭そうに話した。
「藍は?」
と聞くと、
「なんと室伏から。ダンベル。いらねぇ。」
美織と藍は爆笑した。
「室伏らしい!あの筋肉男!」
美織は笑いながら言う。
「プロテインじゃないだけまし。」
藍と美織はおなかが痛くなるほど笑った。
「でも、楽しかったからいいじゃん。太一は何もらったんだろうね。」
藍が言う。
「気になるね。後で聞いてみよ。」
生徒たちは、それぞれのプレゼントに笑いあい教室は一時教師の声が聞こえなくなるほど盛り上がっていた。
「おーい!!!みんな終了!!!!騒ぎすぎだよ!!」
教師が今までにない大声を出し、生徒たちを落ち着かせた。初めての先生の大声に生徒たちはハッとなり、それぞれ席に戻った。
しばらくすると、ようやく教室に静けさが戻り、生徒たちも落ち着いたようだった。
「楽しそうで何より。」
教師はさきほどの大声とは一転、穏やかに生徒に言った。
「さぁ、みんなどうだったかな?自分のプレゼントは喜んでもらえたかな?」
生徒たちは、目を泳がせながら黙っていた。
「じゃあ、みんなの本音を聞こうかな。」
教師は、にやりと生徒たちにほほ笑んだ。
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