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「ん! おいしいですね!」
くるみが最初に食べたのはミックスベリーのパンケーキだ。甘いだけじゃなくて酸味もあってすごく食べやすい。どんどん食べ進められるさっぱりとした味わいだ。
「う、うま」
正面では猛が頭を抱えていた。
チョコバナナも相当おいしいらしい。食べてみると、ベリーよりもすごく甘いのに、やっぱりこってりしすぎなくてパクパクと食べられてしまう。これならもう一枚食べられるかもしれない、と思うくらいだ。
案の定、猛は感動したらしく追加注文したいと控えめに言ってきたので、最後にリコッタチーズのパンケーキを注文した。さすがにお腹いっぱいだったくるみは一口だけもらうことにした。ふわふわとした生地にメープルシロップがかかっていて、リコッタチーズとの酸味と程よく絡んでいる。お腹いっぱいのはずなのにもうちょっと食べたい、とフォークを進めてしまいそうで怖い。
「……はあ……うまい」
あっさり完食した猛は満足気にうっとりとしていた。あまりにしあわせそうな表情をしているので笑ってしまいそうになったが、また照れてしまうかもしれない。照れた顔は見たいけれど、猛にとってはあまり見られたくないだろう。
くるみはこっそりと心の中で「かわいい」とつぶやいた。
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