05.雨に濡れたふたり*

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「今日はありがとうございました!」 「いや、俺こそ。ありがとう」  充実した一日だった。  かわいい動物とたくさん遊べたし、おいしいパンケーキも食べることができた。猛のいろんな表情を見ることだってできた。こんなにいい一日はない。本当はもっと遊んでいたいし話もしたいけれど、今日のところはこれでお別れだ。  駅前で別れようとした時。 「あれ? 雨……」  ぽつぽつ、と地面に雨の粒が落ちる。  どんどん大粒の雨になり、コンクリートの地面が色を変えていく。 「きゃっ」  雨かー、と思っていたら急に土砂降りに変わる。  軽い通り雨だと思っていたら一瞬で激しい大雨になった。 「酷いな。百瀬、走れるか?」 「は、はい」  走れるけど、こんなに濡れた状態でバスに乗ることはできない。しばらく駅の中で雨宿りするしかないのかな……と考えていたら猛に手を取られた。 「俺の家に行くぞ」 「え、え!」  答える聞もなく、引っ張られるまま走った。
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