05.雨に濡れたふたり*

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「あ」  時間が止まる。  上半身をむき出しにしたくるみと、真正面から見下ろす猛の視線。  思考までも止まってしまう。 「わ、悪い!」  先に動いたのは猛のほうだった。  大きな音を立てて勢いよく、ドアが閉まった。 「すまん! 服を持ってくる前に脱いでるとは……いや、なんでもない。あーっと、タオルと着替えここに置いておくから。俺は飲み物持ってくる。なんでもいいよな」 「は、はい……」  何か起きたのか、理解しているけれどうまく思考が働かない。とりあえずぼーっとしながら、渡された大きめのタオルで身体を拭い、猛が用意してくれた服に着替えることにした。  しばらくしてノックの音が聞こえた。 「も、もう着替えたか?」 「はい大丈夫です」  返事を待ってから、そっとドアが開かれる。  くるみの着替えた姿を見て猛はほっと息をついた。 「……本当に悪かった」 「い、いえ。忘れてください」  お願いだから忘れてほしい。  上半身だけとはいえ、裸を見られてしまったんだ。こんなに恥ずかしいことはない。さっきは驚きすぎてどうしたらいいかわからなかったけれど、じわじわと羞恥が広がってくる。どうして脱いじゃったんだろう。 「……やっぱり服でかかったな」 「はい、これ一枚で着れちゃいました」 「っ」  猛のトレーナーを借りたが、膝上にまで長さがあったのでワンピースの代わりになるだろうと、一枚しか着なかった。 「……お前、わざと、じゃないよな」 「え?」 「なんつーか、えろい、んだが」 「……へ?」
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