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いったいなんの話をしているのだろう。
猛の顔がどんどん赤くなっていくのにくるみは何一つ理解できないでいた。
「誘ってんのか? いや、百瀬に限ってそんなことは………でも」
「あ、あの先輩?」
「百瀬」
「ひゃっ」
引き寄せられて猛の胸の中に収まる。
何か起こっているのかわからなくて目が回りそうだ。
「お前の身体冷たい……し、ちっせえ……」
「く、苦しいです、せんぱ……んん」
何が起こっているのかと見上げたら、熱い唇が呼吸を奪う。
今日はシュークリームを作っていない。だから唇にクリームだってついているはずがない。なのに猛はどうしてこんなことをするのだろう。
ふれていただけの唇に太い指が入ってくる、口をこじ開けられて、そこからぬるりとしたものが入ってきた。
少し濡れたその正体が猛の舌だと気づくには時間がかからなかった。
信じられなくて、怖くなって、身を捩らせようとしても猛の強い力に閉じ込められているせいでなにもできない。
口の中に猛の舌が這い回って、舌を絡め取る。
「ん、う、ふあ、あ」
足がガクガクと震える。
「声、えろ」
一度離れた唇は再び覆いかぶさる。口の中にまた猛の舌が入ってきて、くるみの小さな口は猛でいっぱいになった。くちゅくちゅと音が鳴り、唾液が口の端からこぼれる。拭っている隙間もないほど激しくむさぼられているようだった。
「んやぁ、猛、せんぱい……」
「っ、くそ」
トレーナーの中に入ってきた分厚い手が、くるみのお腹を撫でた。くすぐったさにびくりと反応してしまった。
「え、せんぱ」
「ん?」
「あ、あの、なにを」
「……」
猛は答えてくれなかった。
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