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放課後部活が終わる瞬間に調理室を出る。廊下の端から様子を見ていると猛が現れた。くるみのことを探しに来たのだろう。うれしいし、話したいと思うのにそれをやってしまったら彼の本当の姿を知ることができなくなる。我慢だ。
くるみの居場所がわからず諦めたのか、猛は調理室を離れていった。後ろからくるみはこっそりと追いかける。
学校を出て、駅前でふらふらと寄り道をしていた。
ばれないように移動をするのはなかなか楽しくて、周囲から見たら変な姿なのだろうけれど、漫画やドラマで見る探偵気分を味わうことができた。
と、そういうことじゃなくて猛の正体を探らなければ。
遊び人といえば、女の子。
きっとどこかで待ち合わせをして女の子と会っているに違いない。
猛の寄り道は、本屋でボクシング雑誌を立ち読み、そのあとはファーストフード店に入ってなにかを飲んでいた。そしてコンビニでシュークリームを購入。
「……」
まっすぐどこかへ向かっている。次こそ女の子と会うのだろう。
そう思っていたのに到着したのは一度来たことがある猛の家だった。
意気込んであとをつけたのに結局今日はなにもなかった。まあ確かに、いくら遊んでいる人とはいえ毎日女の子と遊んだりはしないものなんだろう。
くるみは納得し、その日は自宅へと帰った。
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