死が二人を分かつまで

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翌朝、何時も通りに起きて大学に向かった。何時もの通学路、何時もの電車、何時もの大学。何時も通りに一日が終えようとしていた。友人と分かれた後、僕はバイト先で有る居酒屋に向かった。 「こんばんわっす」 「おう! シゲ、今日も宜しくな!」 大将のおやっさんは凄く明るくて良い人だ。昔はアングラな世界で結構、やんちゃしてたらしいけど、今は完全に足抜けしてる。その時の名残が背中に思いっきり入っちゃってるから、おやっさんはどんだけ暑くても長袖長ズボンだ。 制服に着替えてって言っても、エプロンの下は得に羽出じゃなかったら何でも良いからほぼ私服なんだけど、取り合えず着替えて支給されてる帽子を被る。ハンディ端末を持って、オーダーを受けて出来上がった料理を運ぶのが僕の仕事だ。特段、難しい訳じゃないけど最初の頃はメニューを押し間違えたりしておやっさんや先輩達によく怒られた。それでも、皆、親切丁寧に教えてくれたから、就職が決まるまでは此処で働きたいなと思って居る。 ピンポーン。店員を呼ぶベルが鳴った。注文を窺いに行く途中で良く声を掛けられるんだけど、ベルを押してくれた人が優先なので軽く会釈した後に「少々お待ち下さい」とだけ言って通り過ぎる。大概は別の人を呼ぶか、ベルを押してくれるので問題は無い。
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