死が二人を分かつまで

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「………君、左手を見せてくれるかな?」 男性にそう言われて、僕は思わず後ろへへたり込んでしまった。そのまま後ずさろうとする僕を隣に座る部下と思われる人が止めた。 「おい、若が左手を見せろと言ってるんだ! さっさと見せやがれ!」 乱暴に左手をの袖を捲られた。その所為であの痕が露にされた。周囲の部下達は皆、一様に「ゲッ」と言う顔をした後しかめっ面になるが、注文をした男だけは違った。 「見つけた!」 「若?」 「私の奥さんだ!」 「!?」 僕はいきなり、凄く強い力で抱きしめられた。周囲は茫然としている。言っておくが、僕の住んでる世界では同性同士で子供は作れないし僕が住んでるこの国は同性婚も出来ない。それにこの人は「若」と呼ばれている。つまり跡目なのだろう。そんな人が今、何て言った?
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