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何故俺がこうなってしまったのか、ことの顛末は暫く前になる。高校2年生になってクラスが変わった。帰宅部で普段から自堕落にアルバイトしかしてこなかった俺だが決して友人がいない訳ではない。一般の男子高校生と比べても少ないとは言われないだろう。寧ろ多いと言われる可能性すらある。クラスにいる時は基本的によく連むのが安達慶介である。慶介とはクラス替えをしてからお互いに好きなものが被っていたため意気投合して仲良くなった。俺も慶介もアニメが好きだった。ジャンルも日常系のほのぼのしたモノから異世界転生モノまでありとあらゆるアニメを見ていた。俺自身はあまり周りには知られたくないことだが慶介がアニメ好きと自己紹介の時に言っていたから話しかけてみた。出会ってから2ヶ月も経っていないのにずっと昔からいた幼馴染ばりに仲がよい。 「慶介何してるんだ?」 昼休みに入ってからずっとスマホを弄っている慶介に俺は気になって声をかけた。普段なら昼休みに入ると弁当を真っ先に食うはずの慶介がこの有り様だ。スマホの容量がなくなるため、アニメや動画は普段から見ていない。スマホのアプリゲームも一緒にやってるのばっかりだがイベントが来ている訳でもない。慶介はニヤニヤした顔で俺を見た。 「別に何にもねーよ」 そう言ってまた目線をスマホに戻す。イライラした俺は背後から慶介のスマホの画面を見ようと試みたが失敗した。慶介は俺の行動に呆れたのかため息をついた。 「ごめん」 イライラしたからと言って人のスマホを覗こうとするのは良くなかったと反省した。しょんぼりしている俺の姿を見た慶介は笑っていた。 「しょうがねーな。放課後カラオケに行こーぜ!」 2人でカラオケに行くのはバイトがない日はほぼ毎日だ。結局何をしていたのかははぐらかされてしまった。
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