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いつも待ち合わせの時間に早く着きすぎてしまうよ~恵side
今日は、あいつとのデート。
出逢って何年たっても、ドキドキしちゃう日。
季節は5月。心地よく晴れた春の日だ。
私は、エメラルドグリーンのショートワンピースを着て、姿見の前でくるくる回る。
うん、似合ってる。
あいつは可愛いって言ってくれるかな。
2人の付き合って初めての記念日にもらったブレスレットを付けて・・・ちょっと早いけど、そろそろ行こうかな?
あいつ、翔太との待ち合わせ場所のカフェに向かう。
翔太はいつも遅れてくるから、文庫本を1冊、バッグに忍ばせていく。
待ち合わせのカフェには20分も前についてしまった。
いつも待ち合わせの時間には、早く着きすぎてしまうんだよね。
私のほうが、翔太のこと好きなのかな。
つきあってくれ、って言ってきたのは翔太のほうだけど、そのときさえ、「好き」の一言はなかった。
翔太はいつだって、「好き」とか「愛してる」とか言ってくれない。
翔太は分からないのかな。その一言で私がどんなに満たされるか。
私のほうは、毎回のように言っているのにな。
そんなことを考えて、ひとつため息。
文庫本を読みながら翔太を待つ。
でも、実際はドキドキして、本どころじゃないんだ。
カラン、という音がするたび、入口の方を見てしまう。
待ち合わせの時間を10分過ぎて、翔太がやってきた。
「ごめん、遅れて」
「慣れてる」
「恵、今日も可愛い・・・」
翔太はそういう感想は素直に言葉にするタイプだ。だから、私は翔太の愛を信じられているのかもしれない。
「散々、悩んで選んできた服だもん」
「いや、服じゃなく恵が・・・」
ぼっ、と赤くなる。翔太のこういうところは・・・やっぱ、愛かなぁ。でも、ちょっぴり、慣れないんだ。
「今日は、井の頭公園だっけ」
体勢を整えて言う。井の頭公園にピクニック。そのために私はサンドイッチを作ってきた。
「あぁ。いい天気でよかったな。行こうか」
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