季節外れの転校生

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季節外れの転校生

「はぁ」 自分しかいない生徒会室でため息をつく。 食べかけのお菓子や飲みかけのジュースで散乱されたテーブルと、未処理のままの山積みの資料。 ここ数日このような光景が日常になってきた。 俺、如月 零(きさらぎ れい)は生徒会室を見渡し、 「…はぁ〜」 もう一度頭を抱えて深いため息をつく。 とりあえず期日が迫っている仕事を終わらせなければ。 副会長、会計、書記、庶務の机に山積みされている資料の中から期日が迫ってるものをピックアップし生徒会長席に腰を下ろした。 流石にそろそろ体がしんどくなってきた。 なんせここ最近まともに睡眠をとれてない。 ベッドで寝たのなんて遥か昔に感じる。 生徒会メンバーが仕事を放り投げてから2週間。 最初はすぐ戻ってくるだろうという浅はかな考えを持っていた。 俺1人でも数日くらいなら何とかなるか、と。 しかし何日待っても彼らが戻ってくる気配はなく、気付いたら仕事をサボるどころか生徒会室をぐちゃぐちゃにするあり様だ。 「勘弁してくれよ」 広い生徒会室に俺様生徒会長と呼ばれている割になんとも頼りない声が小さく呟かれた。 どうしてこうなってしまったのだろう。 いや、考えても無駄だ。 本日中に終わらせなければならない仕事が大量にある。 無駄なことを考えるのをやめていつものように仕事を始めた。 頭の痛さには気付かぬふりをした。
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