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「お疲れ様~かんぱーい!」
美香の元気な声と共にカチン、とジョッキを合わせる音が鳴る。
「今年もありがとうございました。来年も是非ご指導よろしくお願いいたします」
ビールを一口飲んだ後、千紗子が美香にそう言うと
「あははっ。千紗ちゃんらしいね。こちらこそ来年も仲良くしてね」
元気に笑った彼女は、にっこりと笑ってそう言ってくれた。
(美香さんの笑顔は、猫みたいで可愛いわ)
そんなことを思いながら、千紗子はビールをもう一口飲んだ。
「でも、千紗ちゃんも最近しっかりしてきたから、私が居なくてももう大丈夫みたいね」
「いえ…そんなことはありません。今日も失敗してしまいました」
いきなりしょんぼりと肩を落とした千紗子に、「どうかした?何かあったの?」と美香が優しく尋ねる。
美香の優しい瞳に促されて、千紗子は今日の自分のミスの話をした。
「そっか~、忘れ物かぁ。しっかり者の千紗ちゃんらしくはないけど、誰にでもあることよ。雨宮さんが間に合うって言ってたんだから、金曜日に持っていけば大丈夫よ」
「そうですね…次は忘れないないように気を付けます」
「うん」
美香はそう言ってグイッとビールを美味しそうに呷った後、「そういえば」と口を開いた。
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