8. すきといえる

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 「妬いてくれたんだろ?」  「え?」  千紗子の思考が一瞬止まる。一彰の言っている意味がよく分からない。  けれど、一彰の次の言葉で、千紗子はそれを一気に理解することになる。  「ずっと俺ばかりが君のことを好きなんだと思ってた。千紗子の心の傷が癒えるならそれでも構わない、と思ってた。でも、思いがけず千紗子が好きだと言ってくれて、その上ヤキモチまで…。俺が他の女性と二人でいるところを見ただけで嫉妬するほど、千紗子は俺のことが好きなんだな、って思ったらすごく嬉しくなったんだ」  「嫉妬……」  呟くと同時に、意味を理解する。  まるで足元に火をつけられたみたいに、つま先から頭のてっぺんまでが燃えるように熱くなっていく。  千紗子の顔は火が出そうなほど熱く、頭からは湯気が出そうだった。    「ちぃ、可愛い。こっち向いて?」  「やっ、」  自分抱いた気持ちがやきもちだと今初めて知った千紗子は、羞恥のあまり顔を伏せるけれど、頬を両手で包んだ一彰によって持ち上げられてしまう。  (私きっと真っ赤だわ!)  手で顔を覆ってしまいたいのに、その両手は一彰の腕の下にあるから動かせない  千紗子は恥ずかしさのあまり、瞳が潤んできた。  「千紗子」    彷徨わせていた視線をなんとか一彰に向ける。  とろりとした笑顔を浮かべた一彰の唇が千紗子の唇に降りてきた。
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