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そのまま部屋を出た。
「おう、どうだった?」
見知らぬ男に声をかけられた。随分とまぁ求心的な顔立ちだこと。まるで顔の真ん中を拳で殴られたような顔つきだ。
「えっ?なに?」
俺の反応を見てその見知らぬ男は不思議そうな顔をした。
「なんだよ。急にどうしたんだよ」
見知らぬ男は焦っているようだ。その理由がよくわからない。俺の名を何度も呼ぶがなぜ知っているのだろうか。名札でも付いているのかと思い、自分の身の回りを探したが何もない。
まあいい。
俺は生まれ変わったんだ。
何だったかわからないが過去の苦い記憶を消し去り、明るい未来だけが待っている。
尚もしつこく絡んでくる見知らぬ男に構ってる暇はない。その男を置き去りにして、俺は帰路を急いだ。
街中から初めて聴く曲が流れていた。
誰が歌っているのだろう。冬にピッタリの良い曲だ。
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