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「でも、なんでそれが私だってご存知だったんですか?」 「樹のおかげやねん!」 「え?」 助手席の樹が「はぁー…」と、濁ったため息をついた。 「俺らエスカレーター式のガッコで高3のときクラスメートやったんやけどな!? その時たまたま知ったんよ。樹がえらい真剣な顔でブツブツ言いながらメール打ってて、〝何しとんの?″って聞いたら、〝今日、幼馴染みの誕生日やから、一応おたおめメール打っとるんや″って言ってて。」 そういえば、普段連絡は滅多に取らない上にたまにしてもそっけない樹は、誕生日だけは毎年きっちり当日にメールをくれていた。 そんなに真剣な顔をするほど凝った文章は、もらった覚えが無いけど。 「めっちゃびっくりしたんよ! その日が誕生日の子、俺ずーっと探しとったから!しかも聞いたら同じ歳の女の子で、運動神経も寝相も悪くて、好きな食べ物が〝栗ご飯″、味噌汁は赤出汁派やって言うから! もー絶対この子や!!ってなって、めっちゃテンション上がってん!」 確かに、それは私だ。 まるっきり被る条件の人を探すのは難しいかもしれない。見つけてテンション上がる気持ちは、分かる気ようながする。 それにしても、随分と難易度の高い条件を投げかけてくる占いなんだな…確かにその分効きそうな気はするけど…。 「…なんかの間違えちゃう?って何回も聞いたんやけどな…全ッ然耳貸さんねん、コイツ。 正式に当主んなったら迎えに行くー言うて、お前の親にだけは先に文書で事情話して、今日までひたすらウキウキ待ってたで…。」 当主だなんて…そんなすごいお家のお嫁さんが、私に務まる気がしないなぁ…。 なんかまだ、御伽話を聞いてるレベルの実感しかないし。 「ところでさぁ…樹は今、どういう立ち位置なの?共通の知り合いとして同伴してるの?」 さっきからずっと疑問だったことを口にしたら、そこには意外な答えが待っていた。 「樹は、俺の執事やで!」 「……………は?」
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