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『普通に制服着て、お茶とかデートだとか…してみたかったですね』 パラパラと休憩時間に雑誌のインタビュー記事を開いて、ぼんやりと見る。 お洒落なカフェの窓際。 午後の柔らかな日差しが大きなガラス窓からテーブルと美味しそうなケーキ、そして、カフェオレをライトアップしている。 そのテーブルの椅子には、小首をちょこんと傾げたふんわりと微笑んでいる女の子。 【serina】 今や人気絶頂モデル、女優。18歳。 CMにもひっぱりだこ。 だから、この国の人で彼女のことを知らない人はまずいない。 「…ina…、セリナ…彩華ー!!!」 慌てて、雑誌から顔を上げた。 「まーったく。何度声を掛けても返事しないんだから」 「…ごめん、ね?百合子さん」 申し訳なく眉を下げて上目遣いで謝る。 仕方ないわね、と半分怒り顔、半分諦めの笑みを浮かべている百合子さん。 「その調子だと、話をほとんど聞いてなかったよね?」 「あはは…」 決まり悪く、誤魔化し笑い。 手に持っていた雑誌を口元に当てていたら、雑誌は百合子さんに取り上げられた。
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