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目だけを横に向けた。 そこには、高校生らしき集団がふざけあいをしたり、笑いながら通り過ぎるところだった。 男子、女子… 5、6人が互いの顔を向け合い楽しげに歩いている。 ザワザワしていた空気は、彼らの楽しげな雰囲気の所為だった。 「…自意識過剰…はずかし…」 ぺちぺちと自分の頬を叩く。 そして、そのまま顔を包み込むように頬を両手で覆った。 覆った掌の指の隙間から、ちらりと通り過ぎていく高校生の集団を盗み見る。 何年生なんだろう? 高2か高3ぐらいかな… 楽しそうな笑い声。 屈託ない笑顔。 小突きあったり、背中を叩いたり。 女子の制服らしい膝上プリーツ、チェックのスカートが軽やかに揺れている。 少しずつ遠ざかるその姿が、実際以上に遠く感じた。
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