ごめん…

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ごめん…

俺はテーブルの上に美加のピアスを置いてスマホを持つ。 あの暑い夏休みからこの寒い冬休みになっても、未だにそのメッセージに既読は付いていなかった。 「…これで最後…」 正座をしてスマホを耳に当てる。 虚しく鳴り続ける呼出音。 変わることのないその音をずっと聞いていると、もうこの世界には俺しか居ないんじゃないかと思えてくる。 ブチンとその音も切れて俺はスマホをテーブルに置いた。 美加のグラスもマグカップも茶碗もお椀も箸も歯ブラシも…まだそのままにしてある。 もう美加は帰って来ない。 俺と話さえしてくれない。 やっとそれを受け入れようと思ってもそれらを処分する気にはなれなかった。 「ごめんな…」 呟いてピアスを見つめる。 俺は仕事のせいにして…仕事に逃げた。 生徒が居る以上、クラスも授業も部活も…手を抜きたくなくて、笑われるくらい丁寧に準備をしたのは事実。 それは後悔していない。 ただ…少しくらい美加を気にかけることはできたはずだった。 会議が終わったタイミングで、トイレに立った時に、コーヒーでも飲もうと誘われた時に…そこも甘えて適当にしたのは俺。
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