ごめん…

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美加は何度も声をかけてくれたのに。 俺は何もしなかった。 ずっと俺と向き合おうとしてくれていたのに…。 いつも、どんなに遅くなっても待っていてくれたのに…。 美加の話は何も聞かなかったし、連絡さえしなかった。 付き合って約2年。同棲して約1年。 仕事で会えないことが続いて同棲することにしたのに…結局俺は…。 「ごめん…」 呟いてスマホを掴んで立ち上がる。 こんなにも放置してごめん。 もう忘れてる? もう俺のことなんて…必要ないか? でも、今更だけど…俺はお前と居たいよ。 やっぱり…このままは嫌だ。 玄関まで歩いて美加がいつも鍵を入れていたボックスが少し空いていることに気づいて開けてみる。 「あ…」 メモが入っているのを見つけて取り出した。 出て行ったあの夏の日にはなかったはず。 『反省したら電話して』 ちょっと丸っこい文字。美加の字だ。 スマホを出して書いてある番号に電話をかける。 「………遅いし。…バーカ」 久しぶりに聞いた美加の声。 「ごめん…」 あぁ…泣きそう。 「どこに居る?」 聞きながら玄関の鍵をかけた。 階段を駆け下りて、走って車に乗り込む。 「どこだと思う?」 「すぐ行く」 スマホを助手席に投げて、俺はグッとアクセルを踏み込んだ。
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