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…やるか。
耳元で鳴るうるさいスマホのアラーム。
眉を寄せて目は閉じたまま手を伸ばして…さっさとそのアラームを止めようとしているのに指先に感じるのは冷えたシーツばかりで手にスマホを掴めない。
「…んーっ!!くそっ!」
目を開けてモゾモゾとうつ伏せになる。
音はするのにどこにあるかわからない。
「どこだよ…。…メガネは?」
視力が悪すぎて視界はぼんやりしているし、寒いし、うるさいし…なのにスマホもメガネも見つからない。
ポンポンと手で探っても枕を退けても…どこにもない。
「マジか…」
ため息を吐きながらカーテンを開ける。
まだちょっと薄暗い。
「あ…今日は休みじゃん…」
やっと見つけたスマホのアラームを止めて時間を確認した俺はスマホを放り投げてベッドの脇に座る。
昨日は仕事納めだった。
中学で教師をやっている俺だけど、さすがに年末年始は部活もない。
もう一度寝ようにも…起き上がって動いてしまったせいで眠気は吹き飛んだ。
「あー、さっむっ…」
暖房を付けようとして、踏み出した足元には大量の服や本。
メガネもまだ見つからないからよく見えないし…
「いってっ!」
何かを踏んで地味な痛みにイラッとするものの…怒りをぶつける相手も何もない。
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