空の色に気付かされた自分

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空の色に気付かされた自分

▪霙×空吾。幼少期。 ▪陰鬱。閲覧御注意。 ━━━━━━━━━━━━━━━ いつも見上げる空に、青は無かった。 死の樹海の奥の奥、普通の人間では辿り着けない境地。黄泉と、この世の境目。それが呪界だ。 人知れず、そこを縄張りに生きる一族。名は神室院。 隠れ陰陽師として名を馳せた彼等は、外界の空気を纏う部外者、余所者を嫌う。狭い世界の中で生き、仕事以外で外の人間とは関らない。 呪界と名を打った監獄で一生を過ごす。それに不満を抱く者など誰一人として居なかった。窮屈さを嘆く者は、穢れ者として扱われ、死を余儀無くされたから。 “神室院”と言う名の傲慢の下、廻る世界。霧が渦巻く薄暗い灰色の空の果て、待つのは絶望しかないのだと、神室院の最たる者として君臨する彼は諦めていた。たったひとりの少年と出会うまではーー
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