雪ウサギ

11/20
前へ
/20ページ
次へ
それから脚立に昇ったり降りたりを繰り返して、少しずつ場所を移動している間に、私は夢中になって掃除をしていた。 ふと、 「サク!! 囲炉裏の近くは危ないからしなくていい。 脚立から降りなさい。」 っと!危ない危ない。 と、パパに言われて、足元を見ると、囲炉裏の上部にある火棚がすぐ側にあった。 足元の脚立の隙間からは、囲炉裏のなかで優しく燃えている火が見える。 乾燥した木を使っているせいか、煙が少なくて、目に染みることもなかった。 ・・と、脚立を降りようとした時だった。 囲炉裏を挟んだ向こう側の梁の上に、何か黒くて四角いものを見つけた。 「ねぇ、パパ、あれなに?」 そう言って指をさすと、 「え?どれの事? パパには見えないぞ~?」 そう言うパパの視線からは、梁の底面しか映らないから見えないんだ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加