147人が本棚に入れています
本棚に追加
「何それ…!精神的なことで?」
『いえ、…それが……流産、したようです』
「流産?!」
『それで、理もみんなに責められてます。そしたら雪子さんが家出しちゃって、今、行方不明みたいです』
雪子の苦しみを思うと、あたしはズキンと胸が痛くなって、唇を噛み締めて俯いてしまった。でも、匠は気がついて優しくあたしの肩を抱いてくれた。ジミーとアンジェは向こうから首を伸ばしてあたしたちを見ていたけど、日本語だからわからないみたいだ。
「雪子、一人でどっか行ったの?」
『いえ…友人…多分、理と共通の友人の医者がいて、その人が一緒らしいですが…あちこち転々として、そのまま理から逃げてるんですよね。俺は流石に首を突っ込めないので、その状況だけは調べてすぐに分かりましたが…。梨花にもこのことを伝えるかどうか悩んでるとこで…』
系斗が少し暗い声でそう言うと、あたしは匠を見つめて、
「あたし梨花に会いたいんだけど。梨花はどこ?」
と言うと、匠は驚いてあたしの肩から手を離して、
「お前、何言ってんだ?ダメだ。しばらく外出禁止!」
と言うけど、あたしは立ち上がって仁王立ちになった。
「じゃ、系斗。梨花、今、日本でしょ?ロスに行く前にハワイに連れてきて!!あたしが直談判するからッッ!!」
『えっ?!瑠生は関係ないでしょう?』
「関係ありますぅ!!関わってますぅぅ!!」
やっぱ、梨花にはまだまだ届いてない!だめだ、あの女は!
最初のコメントを投稿しよう!