episode9 いつかその時が来たら

12/30
前へ
/187ページ
次へ
* ロサンゼルス。 高級住宅が並ぶ住宅街に、あいつらの家がある。住所はとっくの昔に調べてあるから、タクシーで一直線だ。が、その前にとりあえず一旦ホテルを取ってシャワーを浴びて、服や下着を一式買って着替えた。手ぶらだったしね。 それから、テラと一緒に梨花とスコットの家にやって来た。家にいることは、マネージャーに確認済み。そのまま家にいてもらうよう頼んである。マネージャーが行く、と話しておいてもらったから油断してるはず。インターホンを鳴らしてドアをノックすると、ドアがゆっくり開いて梨花が顔を出した。 「あら、瑠生?どうしたの?なんでここにいるって…」 と笑顔であっけらかんと言うと、あたしはチッと舌打ちして梨花の腕を掴み、 「梨花…、あんたはっ…!!」 と怒鳴りながら家の中へとズンズンと歩いて行って、リビングの壁に梨花を押し付けた。テラもあたしの後ろについてきてドアを閉めると、ソファに触っていたスコットも気がついて立ち上がり、あたしを見て驚いて身を乗り出した。 「瑠生?なんでここに?!」 「黙れ!今は梨花に話があるんだよ!!」 「え?!なんでそんなに怒ってるの?!瑠生!」 梨花も意味がわからない、という表情でそう言うと、あたしは梨花を睨みながら、 「梨花。仕事入ってる?」 と訊ねると、梨花は眉を顰めながら首を横に振って、 「いえ。落ち着くまでは仕事入れてないわ」 と答えると、あたしはニッコリ微笑んだ。 「じゃ、顔に傷作っても大丈夫ね」 「え?」 「ふざけんなよッ、このバカ女ッッ!!!」 あたしは右手を振り上げて、思い切り梨花の頬をバチッッと平手打ちした。
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!

147人が本棚に入れています
本棚に追加