episode 1 ハワイに来た女優

2/20
143人が本棚に入れています
本棚に追加
/187ページ
常夏の島。ハワイ。 観光客が絶えない、オアフ島。 あたしは今日も、青い海辺でボディボードを抱えながら、仲間たちとビキニで歩いている。この辺りのビーチはオアフ島の南東の海岸で、車で走りながらここの波が気に入って、今日はここで泳ぐと決めた。 「瑠生(るう)。今日、ダーリンは休み?」 ボード仲間の同い年のシェリーが言うと、あたしは頭を横に振って、砂浜にビニールシートを敷いて、ミネラルウォーターや炭酸水、コーラのペットボトルや缶が入ったクーラーボックスを置いた。 「ううん。仕事。なんか、日本からの依頼なんだって。芸能人か政治家のガードとかじゃないかな?詳しくは教えてくれないの。うちのボスは」 「タクミさんは、クールだもんねぇ」 そう言うのは、一緒に働いてる仲間であり、今じゃ親友のアンジェ。そばかすがハワイのローカル娘らしくて、アラサーなのに可愛らしい。最近髪をショートカットして、余計童顔になった。 「あれを『クール』という一言で済ませられないものがあるけど」 「まぁまぁ。でも、今日は休みくれたから、ラッキー!久しぶりだし、頑張るぞー!」 「おー!!」 あたしたちはボードを抱えて、海へと駆け出していった。
/187ページ

最初のコメントを投稿しよう!