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あたしの名前は、瑠生。30代前半、と言うことだけ言っておこうか。
黒人のアメリカ人の父、日本人の母から生まれたハーフだ。両親は、あたしが10歳の時に、とある事件に巻き込まれて亡くなった。
あたしの唯一の家族は、二つ下の妹、美衣。美衣は日本のとある会社の社長夫人。息子がいて、養女もいる。頻繁に会えないけど、たまにやってくると、大騒ぎになる。頼むから、しばらく来ないで…と願っている。
あたしは今、ハワイ、オアフ島にあるパラウィンという会社で働いている。会社を立ち上げたのは、パートナーの匠。あたしより17歳も年上だけど、一応旦那でもある。
元々匠は日本で探偵事務所を作って働いていて、あたしは高校を卒業したと同時にその探偵事務所で働き始めた。他の選択肢など思い浮かべなかった。匠と働きたい。それだけだ。
あたしと匠の馴れ初めは、語り出すと長くなる。出会ったのは、あたしが3歳になる手前かな。当時、アメリカのニューヨークにいて、匠は刑事だった。ニューヨーク市警にいたあたしの父、スティーブ。その相棒が匠で、その頃の匠は人を寄せ付けない冷たさがあった、とか。それでスティーブが匠を自宅に連れてきて、あたしたちは出会い、まるで父親のようにそばにいてくれた。匠は段々冷たさも角も取れてきて、人と接することを前ほど怯えなくなったらしい。
*そのあたりは、シリーズ3や、3以降のお話を読みにきてくださいね。
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