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その人の名前は系斗。
敵になったら、一番厄介なタイプ。
でも、今やこの人は匠と一緒にパラウィンを立ち上げた仲間となった。まさか、系斗と一緒に働くことになるなんて思わなかった。不思議な感じだ。
系斗がそばに歩み寄ってくると、あたしはビーチタオルを肩にかけて系斗を見上げた。
「いやーな予感。なに?系斗」
「…匠が、瑠生を連れてくるように言ってきて…実は」
「あ、いい。言わなくて。匠に直接聞くから」
「そうしてください。じゃ、車に行きますよ」
系斗はそう言って、砂浜に置いたあたしのバッグを持つと、そこにいたあたしの仲間たちをみて、
「あ、アンジェも来れますか?」
と英語で言うと、シートの上に足を伸ばして座っていたアンジェは、コーラを飲みながら顔を上げて系斗を見た。
「私も?そんな大ごとな感じなんですか?」
「そう、ですね。瑠生だけでは心許ないと言いますか…」
「酷くない?あたし、そんなに信用ないのかなぁ」
あたしは系斗を睨みつけると、系斗はあたしを見ようとしない。やな感じだわ。アンジェは空気を読むタイプだから、立ち上がって歩み寄ってきた。
「まぁ、いいわよ。行きまーす!お仕事なら喜んで!」
「さすが。一番話がわかりますよね」
嫌味だよね、それ。あたしのこと言ってんのかな。
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