ぶかぶかの服(1)

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ぶかぶかの服(1)

 しかし、困ったことになった。褒め言葉が、一つも見つからないのだ。寝癖がつきっ放しの細く黒い髪。血色の悪い顔に、やせぎすの体。そのくせ、服はなぜか、ワンサイズどころかツーサイズは大きい。しかも、襟のよれ具合や裾のほつれからして、一目でお古と分かるものだ。 「あなた、どうしてそんなにぶかぶかの服を着ているの?」  スザンヌは、思ったことを素直に口に出して尋ねた。
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