雲を着た少女(3)

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雲を着た少女(3)

 さっき見上げていた雲が、ずいぶん間近いところにある。自分の目の前、一メートルほどのところに。その雲は、風を受けてひらりと翻った。それから、白くてかわいい小さな手が、その雲を軽く押さえた。 「あなた、どうして一人でいるの?」  雲を着た少女が、ジョンに尋ねた。雲と思ったのは、麻でできた白くて軽いワンピースだった。
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