いつかの放課後と、夢だけ見てる今日(仮)

　担当編集者との打ち合わせは、いつもユウウツだった。今まで何人かが自分の担当になったが…、何て言ったらいいのか…、自分の描きたい漫画と、相手が描いてもらいたい漫画が、ことごとく噛み合わず、毎回、やり取りは、遠く遠くずれていくばかりだった。
　皆、デビュー当時から、オレの作品を高く評価してくれている人ばかりで、それはうれしかった。しかし、それがかえって、だんだんと辛くなっていった。
　漫画家になったのは、自分の描きたい世界を表現する為だ。それなのに相手は、こうすればもっと良くなる、この設定はこうしたらずっと面白くなる、と自分たちの意見を一方的に押し付けてくるばかり。それは、オレの漫画をより良くする為のアドバイスなのだが、オレにはその意見がとても面白いとは思えなかったし、それ以前に自分の描きたい物語とはかけ離れていて、そんな漫画は描きたくもなかった。
　トントン拍子でデビューが決まったのがいけなかったのかもしれない。今、思えば恥ずかしい事だが、天狗になっていた部分も多々あったと思う。自分には才能があると自惚れていた。今もそう思っているところが少なからずあった。だから、担当の意見も素直に受け入れずにいた。