いつかの放課後と、夢だけ見てる今日(仮)

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「昨日、映画を観たの!古い作品なんだけど、凄く良かった!」  私の方から、トモキに映画の話をするのは、初めてかもしれない。 「主役の女の人が、凄く逞しくて素敵で、実際に身近にいたら嫌なタイプかも?って思うけど、あんな風に回りに何と思われようが、強い意思を持って生きていくって、憧れちゃう。自分には絶対に出来ないし無理だけど、ある意味、理想だなぁ」 「何でそんな昔の映画を観たの?珍しいね」 「家族で映画の話になって、お母さんの一番好きな映画がそれなんだって。若い頃に観て、お母さんが憧れた女優さんで物凄く素敵だって言うから。昔の映画なんて古くさそうだし、難しそうだし、そんなの別に観たくないよー!って思ったんだけど、すごくいいから、絶対観るべき!って言うからさー。渋々見始めんだけど、もう、ハマっちゃって、長い映画なんだけど、一瞬も目が話せなくて、結局、一気に最後まで観ちゃったよー」 「明日は明日の風が吹く」  トモキが聞こえるか聞こえないかの声で、呟いた。
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