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1本道
北海道の初夏はとても心地よい。
辺りに広がる荒野の中、1本の道にバイクを走らせる。
ボンっ、ボンっという太いマフラーから鳴る重低音は、まるで自身の鼓動に連動しているようで、耳に感じる風の音は、まるで僕の背中を押すように……
そんな気持ちの良い真っ直ぐな道でも、気づけば真っ直ぐからは逸れていて、そうしてやがては海にたどり着く。
1本の大木が、まっすぐ天に伸びているかのように見えたのが、実は斜め上の太陽に向けて伸びているように。
僕らの人生も、まっすぐ進んでいるように見えて、きっとほんの少しずつ傾いている。
傾きながら、折れないように、折れないようにと必死に伸びている。
目に見えないくらいの小さな失敗、小さな壁、時に避けていかなきゃいけないくらいの大きな壁を、なんとか越えて、曲がって、進んでいく。
そうしたら、いつの間にか木が太陽に届かんとばかり、もしくは道がその道にしかない海景色へとたどり着くように、僕らも僕らにしかない道を進んでいく。
まっすぐなんてつまらない。
少しずつ曲がりながらの伸びていく人生だからこそ、人生は楽しくなるんだ。
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