嵐のあとの太陽と、水溜まりに、美味しい空気

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嵐のあとの太陽と、水溜まりに、美味しい空気

突風と、大雨と、湿気た空気。 一雨くると思った時には遅かった。 ベランダに干してあった洗濯物たちを、慌ててずぶ濡れになりながら部屋へ戻す。 屋根や外壁を鳴らすドラムロール。 まったく心躍らない、洗濯物の嫌な香り。 けれど嵐は長くは続かない。 濡れた寒さをシャワーで流し、タオルで身体の水気を拭き取れば、気づけばドラムロールは止んでいる。 窓を開ければ緑の匂い。 嵐に浸った木々や花、そんな香りに心が踊る。 ほら、外を見れば水溜まりには、1枚の落ち葉が降り立って、そして陽の光を受けている。 こんな中に、タオル1枚包んだ身体で、私も陽の光を浴びればきっと気持ちいいんだろうな。 例え、嫌なことが続いても、それは長くは続かない。 嵐のあとにはこんな綺麗な空気が、私を包んでいるのだから……
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