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初日の出
中学生の頃だった。
いつもは初詣に行く1月1日になったばかりの夜。
だけど今年は車に揺られて高速道路をぐんぐん進む。
隣の県を越え、もうひとつ隣の県へ。
この小さな島国の端っこの方へと近づいていく。
やがて、正面に真っ暗闇の絶望のような世界が見えてくる。
先の方がなあんにも見えないんだ。
あるのはただの黒。
それとザザっーという波の音。
海ってこんなに黒くて怖いんだ。
そう思った。
でも……
時間が経つと、少しづつ空は明るくなって、青と白が見えるようになってきて、さっきまで真っ暗闇だったずっと先の方から、ピカッて……
とっても眩しい太陽が僕らを照らし、その先の港町を照らし、やがて世界を照らす。
この世界はきっと本当は真っ暗闇で、辺りそこらに絶望が転がってて、皆がその中で生きているのだけれど、そこに太陽のような眩い光があたれば、絶望の中に希望が見えて、真っ暗闇は希望という灯火に照らされる。
悪いことばかりじゃないって……そう思って生きることができる。
そして、みんなの希望が放つ太陽のような光は、今度は誰かの希望の光になることだってできる。
そうして誰かの1年も照らされた1年になるんだ。
今年も絶望のような世界に産まれてくる子たちが、その中で光に照らされて希望を見つけられるように……
僕達大人はほんのちょっとずつでも、光の方を向いて頑張らないとね。
みんなの1年が、よき1年であり満寿ように。
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