一の昼

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一の昼

体育館裏に呼び出され、何事かと思う。呼び出し主は普段あまり関わりないとなりのクラスの人気者、足立夏生。背が高く、運動神経抜群で、勉強も出来る。もちろん顔も良い。いわゆる完璧人間だ。ちんちくりんな自分とは無縁の存在だと思っていたが、一体何の用だろう。 知らないうちに何か弱みを握られたとか?それで脅迫をされるとか?いや、足立の悪い噂なんて聞いたことがないし、前に少しだけ話したことがあるが、とても気の良いやつだったと思う。 まさか、告白?なんて、ないない。自分は男だ。学校で制服を着てるんだから間違えるはずもないし、そもそもすでに彼女の一人や二人くらい居そうである。例えそうであっても、悪いが自分はいつか出会うボンキュッボンの長身美女と付き合うんだと決めている。 じゃあ、一体何だ……? そんなことを考えていると足立が駆け足でやってきた。よほど急いでいたのか、ずいぶんと息をきらしている。 「ごめん、呼び出しておいて遅くなった」 別段この後予定があるわけではない。 大丈夫、それで一体何の用?っと聞くと、足立は少し気まずそうに頬を掻いた。 「いや!ええと、その……」 しかし本当に背が高い。自分と20センチほどの差だろうか。なぜだか緊張している様子の足立を見上げていると、何だか自分まで緊張してきた。 少しの沈黙の後、ついに足立は何かを決心したようで、まるでプロポーズでもするかのような姿勢でこう切り出した。おいおい、まさか本当に── 「照井真昼!どうか俺の弟になって下さい!」 ……え?
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