戦場の酷い掃除屋

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 仕方なく村を出て再び熱帯の密林へ。1日2日と経ち、つまり作戦開始から3週間が過ぎ、皆が恐れていた雨期に入ると、早速、大雨が第一師団を襲いました。どんどんぬかるむ道なき道。兵士の足はずぼりずぼり泥濘に埋まります。足を取られ益々疲弊し、体力を消耗する兵士たち。その上、空腹に耐えかねてしまいますが、補給困難の為、後方からの支援もありません。  第一師団蛹田師団長は、「未だ目標地点に遠く及ばず、食糧尽き、大雨に因る泥道となり行軍ままならず、兵士疲労困憊の上、飢餓と苦闘し、作戦続行不可能」と司令部に打電しましたが、作戦に反対する司令部の荻萩参謀長は無駄口司令官に更迭され、司令部内は作戦に反対できない空気が流れている為、無駄口司令官が、「草でも木の実でも何でも食え!仮令、食いもんがなくなったって根性があるだろ!だから根性で乗り切れ!泥道だってそうだ!根性で乗り切れ!根性さえあれば何でもやり通せるのだ!」とこんな調子で言っても皆、無駄口司令官に同調します。ですから兵站を無視し精神論を重視した杜撰な無謀な計画を立てた、無駄口司令官の思うままに作戦は続行されました。  体力消耗、心身疲弊の上、飢えと雨と泥に呻吟し苦悶しながら作戦開始から4週間目、何とかかんとか目標地点に辿り着いた第一師団は、大砲を組み立ててから昔ながらの白兵戦を得意としているので夜襲するべく銃剣突撃しましたが、それは時代錯誤も甚だしく火力と物量に勝る敵方の機関銃の乱れ撃ちに真面に遭い、銃弾の雨を浴びた兵士たちは、バッタバッタと倒れて行きました。敵方は全ての電報暗号を傍受し解読して作戦を見透かし、満を持して待機していたのです。  このままでは皆殺しにされると蛹田師団長は尋常でなく危ぶみ、司令部に、「敵は圧倒的に火力で勝っています。どうしようもありません」と打電すると、無駄口司令官は、「火力で劣っても精神力では勝っている。根性だ!根性で打ち破れ!」と相変わらずの調子ですから火力を無視し精神論を重視した杜撰な無謀な作戦は、無駄口司令官の独断で猶も続行されました。  しかし、「駄目です。もう全滅してしまいます」と蛹田師団長が司令部に打電すると、無駄口司令官は、「全滅してでも撃滅しろ!」と言いかけましたが、「腰抜けどもめ!お前らは大和魂がないのか!」と罵った上で要約、撤退を命じ、作戦は中止されました。
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