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第2章『勃発』
その/1
砂垣
うん…、今日は実りの大きい一日になったな
なにしろ、”バック”の動向が読めて、大場や蘇我と方針を共有できたことで、麻衣との約束を果たすことにもつながった
俺達3人は、今後のシュミレーションも敷いたよ
南玉連合を軸とする”敵”とのジャブの応酬は終わった今、本チャンのゴングは、こっちから鳴らそうということになったわ
...
「…数日前、南玉公認チーム、レッド・ドッグスのアタマが朝霧商業に乗り込んできた。メンバー1人を連れてだ。おそらく先週、街中で一人ぼこったから、その報復だろう。まあ、目的の女がいなかったってことで、大きな乱闘には至らなかったが…」
「蘇我、そのアタマって、確か麻衣のシンパだったよな?」
「ああ…。ドッグスの創立時のメンバーで、揉め事なんかでは、常にそいつが先頭に立って出張ってたらしいな。ええと…、新村静美って子だ。麻衣とは同級だが、今だに”さん付”で呼んでるほど、麻衣に対しては、絶対の忠誠を尽くしているようだ」
「よし、朝霧の件あたりは”伏線”に置いとこう。で、実際のタマはどいつに向けるか…」
「砂さん、蘇我とは話したんだが、向こうは、もう共同戦線がしっかりできてる。戦力もはっきりしてるんだ。手の込んだことは省いて、手っ取り早く一気に勝負掛けたらどうかな?こっちにはバグジーという、”秘密兵器”も付いたことだしさ」
確かにだらだらやってたら、それこそ”バック”にじわじわと取り込まれる恐れがあるか…
「となると、一発目のマトはそれなりじゃないとな。向こうに与えるインパクトが肝心だ。で、どんな人選考えてんだ?」
ここで蘇我がニヤリと笑って、一枚の写真を出した
...
「オレと大場は、このお嬢ちゃんを”推薦”する」
蘇我からは、簡潔に人選理由の説明を受けた
「よし、その子でいこう。で、手口は?」
今度は大場が、襲撃計画を具体的に提案してきた
「…まあ、さっきのギリギリってラインからするとどうなのかは、ちょっと俺には何ともなんだが…。どうかな?」
うーん、微妙なとこだが、麻衣もきれいごとは言わないってことだったしな…
「大場、それでやってみよう」
さあ、始まるぞ…
麻衣も言っていた通り、思いっきりやる!
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