第2章『勃発』

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その2 ケイコ 多美がやられた…‼ 下校途中、5人組の男女に囲まれ連行された多美は、左足首のあたりをバーナーで焼かれたということだ 祥子から入院の知らせを受け、私はアキラの後ろに乗っかって、相模浦南病院に向かったわ 「じゃあ、オレはここで待ってるよ」 「うん、じゃあ、行ってくる」 アキラには1階のロビーで待ってもらうことにした ... 3階の病室の前には、アカネと1年の理沙が立っていた 「あっ、おけい、来てくれたんだ!」 「ああ、多美は?大丈夫なの!」 「うん、やけどの具合は思ったより重度が低いみたい。あと、頭に何針か縫って…。今、先生が診察してるから、終わったら会ってやってよ」 「わかった。で、祥子は?」 「中にいる。…あの人、ずっとつきっきりだよ。診察にも立ち会うって、家族の人に頼んでさ…」 「そう…、祥子が…」 ... 祥子の話では、排赤一派の手によるものだろうということだが、手口からすると、直接の犯行は愚連隊系ではないかと… アカネたちから聞いたところは、その程度だった まあ、まずは多美から詳しい話を聞かないことには… しばらくして、病室から先生が出てきて、入れ替わりに私たちが中へ入った 「おお、おけい、来てくれたのか…。多美、おけいだぞ!」 「多美…!大丈夫か…」 「ああ、おけい、たいしたことないさ。お前、仕事はいいのか?」 多美はことのほか元気だった そのあと、家族の人は気を利かせてくれ、外してくれた 「私たちも外そう」 アカネも理沙を連れ立って室外に出て、病室内には祥子と私、多美の3人になった 私と祥子は、多美からことの状況を大まかに聞いた ... 多美は冷静に話してくれたよ どうやら、相手は、勢力割譲の話し合いを持ちかけてきたらしい 「ふん、4人で路地裏に連れ込んで、そしたらもう一人がガスバーナー持っててさ、話し合いもクソもあるもんか。要は、脅しだよ。当然突っぱねたら、さすがに多勢に無勢で、このザマだったわ」 「とにかく、無理しないできちっと治してよう、留守の間は私がちゃんと仕切るからさ。多美は心配しないでいい」 「祥子、私の不注意ですまない。早く退院して、復帰するから、その間、頼む…」 多美と祥子は、すっかり通じ合う仲になっているようだ 麻衣と私の時代のような対立はなく、ほんと1本にまとまってる 偉いよ、二人とも…
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