第2章『勃発』

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その6 ケイコ 「…今までの経緯も含めると、向こうは多美の襲撃で”開始”としてるわ。彼女の今のポジションと、陸上部だってことを十分意識して…。まあ、単純に聞いたら、陸上に勤しむ女の子の足首をバーナーで焼くなんてね…、何て残虐なってなるわよ、そりゃ。南玉内だって、かなりテンション上がってるんじゃないの?」 「はい。今日祥子からの電話で聞いたところによると、一部は頭に血が上って、報復すべしの声も上がってるようです」 「でもねえ、5人がかりでガスバーナーよ。それこそ、皮膚の細胞組織損壊って大やけどでしょ?まあ、警察沙汰とかを恐れて、加減は心得てとしても、言ってみれば、開戦を告げるアリバイつくりに留めたと思う。そこでよ。私のカンでは、今回は一気に勝負を仕掛けてきそうな気がするわ」 さすが、名策士と言われた相川先輩だ すでに”敵”の動きが見透かせるみたいだ… ... 相川先輩とは結局2時間以上、”本題”を話していた とにかくこの人の話は、とても参考になったわ 祥子にも早めに伝えよう 先輩の今後の見立ては、”次”もすぐ来るという そしてそれが、最終局面の決着へのアクションになるって その標的は、今まで小競り合いで関与した人間になるだろうと… さらに、今度は集団でのトラブルを巻き起こす状況設定で仕掛けてくるかもしれないって ... 「…結局、行き着くところは、今や伝説の、紅組と墨東会の火の玉川原…。ああいう展開じゃないかなってね。あの時はミキさんが、タイマンで屈強な男をねじ伏せたわ。どう?今回、それが出来そうとなると、誰になるかしら」 「やはり…、南玉内では、津波祥子になると思いますが…」 「そう…。津波祥子は私もそんなによく知り得ないけど、まあ、あの体だからパワーがあるのは分かるわ。確か、麻衣と高滝馬美の二人とは闘ってるわよね?」 「はい。麻衣には負け、馬美には勝ったってことになってますが…」 「いい?祥子には麻衣に負けた敗因を聞いてみて。それで、弱点を把握して、それを補う備えをするのよ。具体的には誰かにコーチを受けさせる…」 「誰に頼めばいいですかね?」 「そうね。本来ならミキさんに頼むのがベストだろうけど、さすがに、アメリカからすぐには呼び戻せられないもんね(苦笑)。そうなると…、鷹美ってとこかな…」 「でも、矢吹さんは完全に私たちのフィールドとは切れると宣言されて、それっきりですが…」 「うん。でも、今の事情を話せばね…。それは私が動いてみる。まあ、その役柄は女じゃなくて男でもいいんだけどね…。ケイコがそうだったし(笑)」 ああ…、”私の時”はまあ、テツヤだったわ(苦笑)
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