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その8
ケイコ
「そんな中でも、私は自分のことばっかりで…。バイト先に南玉の冴木ヒトミたちが来た時だって、腹の中では迷惑がっていたんですよ。仕事場にまで何なんだって…。みんなを見捨てて南玉を放っぽり投げた私へ、麻衣を謝罪させようって思ってくれてる仲間たちなのに…」
うつむき加減で激白していた私は、視界のテーブルに涙を一滴落としていた
「わかった、わかったから、ケイコ…。あなたの気持ちはさ。麻衣については、柔軟にさ…、捉えなおすから。でも、実際はあの子を表に出す訳にはいかないわよ。いくらなんでも…。その辺、何か考え、持ってるの?」
私が「はい!」と大きな返事をすると、先輩は苦笑いしていたわ
おそらく部活時代の”先輩後輩”がフィードバックしたのだろう
...
「昨日、祥子とは取り決めしたんです。岩本真樹子や紅組脱退組、それに麻衣には、北田久美を”特別使者”に当てたらどうかって。常に情報を交換しあって、リアルタイムな情勢に連動していこうってことを根っこにして…」
相川先輩は一瞬、”えっ?”と、意外そうなリクションだった
「…その繋ぎをできるのは、久美しかいないだろうって。南玉の主だったメンバーには、もう祥子がその方向で同意を取り付けてるはずです」
「そう!それなら、なんとかいけるかもね。私も動くわ。そっちのまとまり具合に合わせられるように、調整とっとくから。ああ、ミキさんにも国際電話掛けとくわ。とにかく、まめに連絡ちょうだい。さっきも言ったけど、今回は動きが速いわよ」
「はい、よろしくお願いします」
策士もまんざらではないと言った感じで、私のアイデアは”通過”したようだわ(苦笑)
...
とにかく今日の先輩は、私の心情というか、様子というか、”あれ”以降の私を推し量ってくれてたよ
それは、私に対しての、深い思いやりからによるものだと感じた
半年以上接触はなくても、おそらく、あの人は常に私のことを慮ってくれてたんだろう
そして、その私を麻衣の行いによる犠牲者として同情してくれている
でもね…
ありがたいことではあるんだけど、私と麻衣の間には通常の勧善懲悪では対処できない、魔訶不思議な方程式が存在しているからなあ…
これはちょっと、周りの人には理解しがたい関係だろうと思うよ
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