第1章『発熱の夏、再び』

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その9 ケイコ しばらく沈黙が続いた いや、正確には、1年の理沙がすすり泣く声は絶え間なかった あと当然ながら、コーヒーショップの日常的雑踏とか… ... 「…おけい、じゃあ、ひとつだけ頼まれてもらえないか?どんな立場からでもいい。南玉には気の向いた時にでも、顔出してほしいんだ。アンタの今みたいな熱い言葉をみんなが浴びれば、すべてノーサイドになる。例え妊婦姿でも子連れでもいいよ。なあ、それでどうかな?」 さえはうるんだ目で、でも最後には笑顔交じりでそう言った 「おお、呼ばれれば彼とヤッてる最中でも駆けつける。いつでも連絡くれ!私も生活に追われる身だけど、みんなの顔が見たくなったら気軽に顔出すしさ…」 ここでみんなはケタケタ笑ってね なんか、大きく険しい”峠”は越したようだ ... 多美には外の公衆電話から連絡したよ アイツ、もう電話口でワンワン泣いてた はは‥、祥子の言葉を思いだしたよ 多美にとって南玉連合は、まちがいなく永遠の恋人だわ(笑) ... 私ができることは、やれる限りでやった あとは多美、それに祥子、頼む… 二人の力で走りと各校が一枚岩になれれば、南玉連合は反排赤の求心力となり続ける ... 多美の話じゃ、久美が正式に復帰したそうだ その久美と和解した馬美も、南玉連合に改めて参陣することが正式に決まったとか… うん、いい流れだ 噂では、墨東会も砂垣さんとは断絶の方針を固めたってことだし それにだ…! 昨年の再編騒動で南玉から離反した相川先輩や湯本先輩も、反排赤では、古巣の南玉連合とは協調すると表明してくれたらしいんだ 多美の見解では、反排赤のムーブメントは、まだ広がりそうだってことだし 私は”部外者”だけど、大声出して旗振るぞ! 麻衣、お前はどうなんだよ!
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