第1章『発熱の夏、再び』

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第1章『発熱の夏、再び』

その1 麻衣 夕方5時半前、倉橋さんと別れて家についたんだが… 「麻衣さん!」 バイクから降りると、声をかけらてた 振り返ると、懐かしい顔がズラリだわ… 「麻衣さん、ちょっとお話があるんですが…。いいですか?」 新村静美はテンションの高い口調だった こいつは今やレッドドッグスのアタマだ 他にドッグスの主要メンバー3人か… ... 「がん首揃えてなによ?」 「排赤の風が吹いてきました。突風です!また砂垣が動きだしたんです。すでに南玉の新入が一人、ちょっかい出されてトラブルになってます!」 もう来たか… 「祥子は知ってるのか?」 「はい。走りの方はもう気合い満タンですよ。でも、各校の側がシャキッとしないんです。祥子さんと本田さんの間では、一本にまとまることで話しがついてるのに…。奴ら、こっちには一物あるみたいで。特にドッグスとは一緒になれないと、駄々こねてるんですよ!」 「克子の言うとおりですよ、麻衣さん。結局、多美じゃ各校サイドの連中をまとめきれない。フン…、みんなは忘れてないんですよ。去年の火の玉でおけいを残して、自分だけ逃げたのを…」 静美は吐き捨てるように言ったわ まあ、同じ南玉とはいっても、おけいと私の両部隊はずっと犬猿の仲だったもんな…(苦笑) ... 「…それでも祥子さんはこの際まとまらないと、排赤に潰されるからって、各校側に根気よく説得してるんです。ところが、向こうは麻衣さんのことをまだ根に持っているようで、こっちとくっつくの、抵抗があるんです。ふざけてますよ。祥子さんが気の毒です!」 「麻衣さんが戻ってきてくれれば、奴らとはいっそ別れて、ウチらの協力勢力を結集できます。祥子さんも口には出さないけど、そう望んでますよ、きっと。これは、ここにいないメンバー全員の思いです。お願いです、もう一度、カムバック考えてください!」 克子がそう切り出すと、他の3人も、身を乗り出して私に熱視線を送ってきた すごい迫力だわ、こいつら(苦笑) ... 「克子、悪いけど、私が南玉に復帰することは100%ないよ。それに、おけいがいない状態で私が戻っても、同じだよ。まとまらない。かといって、分裂は絶対ダメだ。それこそ、排赤勢力の思うつぼだぞ」 「麻衣さん!じゃあ、どうしたらいいんですか?砂垣一派は一気に来ています。このままじゃ…」 確かに克子の言うとおりだ 私が星流会を蹴ったことで、砂垣にはこれまで以上のバックがついたに等しい この時とばかり、怒涛のように攻めてくる 当然、南玉を離れたとはいえ、黙って見過ごす私じゃない だが、ここで私の真意は言えないわな… ... 「実は、遠回しに各校部隊の連中からは、私におけいへの謝罪を求めるシグナルが届いてる。これは多美の頭越しだ。おそらく多美はそれを押しのけたと思う。今のおけいに私を接触させることは、危険だと判断したんだろう。祥子もそれは了解してるらしいしな」 「冗談じゃありませんよ!そこまで向こうに譲歩するなんて我慢なりません。麻衣さん、横田さんにアタマは下げないで下さい!」 もう、4人とも顔を真っ赤にして、興奮状態だよ まあ、活きがよくて頼もしいが(笑) 「あのな、おけいと私の今の状況は南玉とはかけ離れた、まあ個人間での確執なんだ。そもそも、筋が違うさ。だから、違った形で各校側の要求には対処するつもりさ、私自身がね」 ここでみんなは、お互いに顔を見あわせてる ふふ、ちょっと驚いたようだ ... 「…、だから、お前らには、あくまで祥子を支えてやって欲しいんだ。ヤツは南玉を絶対割らないことを、最優先にして動いてくれてる。”全体”を考えてるんだ。出て行った私が勝手な話だが、頼むよ。みんなも安易に行動をはやらないでくれ、なあ…」 4人は黙って、頷いてくれた 何人かは目に涙を浮かべてる ここで家の前での立ち話は終わり、4人は引き揚げて行った ... さあ、今日の倉橋さんとの申し合せ、それに先程のドッグス有志の心情を踏まえて、わがコンシエーレのお姉さん方に電話だ ヘへ…、かなりの根つめた話になるぞ、今夜は まずは真樹子姉さんからだ…
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